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黄昏(弱音&愚痴)

 

 老けたケム(老犬19歳)が、夜更けに夜鳴きするようになった。

 だいたい時間が決まっていて、深夜の2時半〜朝の7時半までの間だ。

 もう足腰が弱って、うまく歩けないのでオムツを穿かせている。

 オシッコも、ウンチも、オムツにしちゃえばいいのに「外でしたいと」鳴く。

 やっぱりオムツですんのは気持ち悪いんだろうなぁ。

 

 抱きかかえてマンションの玄関に行き、そこでケムを立たせる。

 数歩歩いたところで、すぐにオシッコ。

 ケムはメスのため、しゃがみオシッコをするのだが、足腰が弱っているので、オシッコしてる最中で、オシッコの上に倒れてオシッコまみれになってしまうことがある。

 だからケムがオシッコしている間、ずっと支えて上げている。

 

 夜鳴きは他にも原因がある。

 もうボケちゃってるのか、徘徊癖が出てきた。

 勝手に徘徊してるだけならいいが、ケムは寝ている状態から立ち上がることができない。

 なので「立たせて」と、夜鳴きをする。

 

 立たせて上げると、ヨロヨロと数分徘徊することもあれば、数歩歩いてぶっ倒れることもある。

 ぶっ倒れるとちょっとの間は神妙にしているが、また歩きたくなると「立たせて」と鳴く。

 

 水置き場まで歩いて行くこともできないので、喉が渇いたときにも鳴く。

 たまに自力で立ち上がって、水置き場まで歩いて行くことがあるが、静止して水を飲むことができないので、たいていはぶっ倒れて水をぶちまける。

 当然、お腹が空いた時にも鳴く。

 

 要するに、ケムが鳴いたら、オシッコか、ウンチか、立ち上がりたいか、水を飲みたいか、お腹が空いたかだ。

 それにイレギュラーなのが、お腹が痛くて下痢しているときか、蚊に刺されて痒いとき。

 犬がよくやる、後ろ足で身体を掻く動作すらできないので、蚊に刺されて鳴いてるときは、痒い場所を探して掻いて上げる。

 

 

 ケムは、19年前の夏祭りで親父が拾ってきた。

 家に帰ると、玄関でダンボールに入って寝ていた。

 初めて付き合った娘と、一緒に散歩に行った思い出がある。

 4匹の仔犬を産んだ。

 親父が亡くなって実家で飼えなくなったので、4年くらい前にボクが引き取った。

 つい最近まで、タオと仲良く遊んでいたのに、今ではそれもない。

 

 可愛いから面倒を見ているが、可愛くなければすぐに捨てちゃう。

 それくらい手がかかる。

 老人介護の予行練習をしている気がする。

 人間の場合は、最悪、介護施設などがあるが、犬にはない。

 

 大きなお世話だけど、16キロのケムを抱きかかえてエレベーターに乗ってオシッコをさせるのは、男のボクにでも大変な作業だ。

 最近、ラブラドールやゴールデンなどの40キロにもなる大型犬が多いけど、老いて歩けなくなったら、抱きかかえること不可能だからどうすんだろう?

 

 19歳と言えば若い盛り。人間でいえばムチムチプリンだ。

 でも犬は19でヨボヨボってところが凄い。

 時間の体感速度が違うんだろうなぁ〜。

 

 

 ぜんぜん眠れないのでかなりイライラする。

 看病疲れで無理心中しちゃう人の気持ちが少し分かるもんね。

 

 

 鳴こうが、吠えようが、ぶっ倒れようが、水をこぼそうが、ウンチをもらそうが、精一杯に生きてるんだからそれでよし。

 看取ってやると決めた以上、看取ってやる。