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FEVER

 

 風邪ひいた。

 太樹、ヒカリン、田中がやられて、狭い部屋でゴホゴホやってりゃ、うつるに決まってる。

 週末、風邪の予兆がガンガン来たので、うがいして、足湯して、漢方薬だけ飲んで寝てたのに、ケムの夜鳴きで、起こされるから身体を冷やしたらしい。

 …が、この1年くらいケミカルドラッグを飲まない習慣をつけてるので、少しは身体の免疫力が上がったのかも知れない。

 メチャクチャ喉が痛いし、熱っぽいが、そこでどうにか食い止めた。

 薬に頼らずに治るんだから、ボクの身体は偉い。でもちょっと辛い。

 

 

 スポンサーチェックを受けたのはいいが、10日以上、何の音沙汰もないので、気になって連絡を入れてもらう。

「修正すべきポイントがあれば言って欲しい」と告げたのだが「とくにないです」との返答。

 途中採点はなし。

 11月末にサンプルが完成した段階で評価して、よければ本契約だし、ダメなら「ここを修正して」とかの指示はでないまま打ち切りになる様だ。

 グラフィック(田中、ヒカリン、FFC)は申し分ない。

 サウンド(谷口)はBGMガンガン鳴らすには至らないだろうが、SE鳴らしただけでも申し分ないはず。

 プログラム(阿彦、太樹)も、短期間でここまで作ってるんだから、驚かれこそすれ、ダメなはずがない。

 ダメなら企画のボクが悪いなこりゃ(-_-メ)

 企画なんで佐代子も同罪。…っていうか、むしろ佐代子が悪い。

 

 しかし「なんかした方がいいことあんのかな?」と聞いても「気を抜かずにやってればOKだ」としか言わないんだもん、ダメだったら鈴木さんのせいにしよう。

 目は優しいが、スキンヘッドにサングラス、さらに皮パン穿いてんだから、全体的には悪者の印象。

 彼のせいにしておけば、世間も納得するに決まってる(^^ゞ

 

 しかしスポンサーにしてみれば、完全にお任せ&自由に作らせるとどうなるか、様子を見たいってことなんでしょう。

 とかく指示が厳しいと世の中に評判の会社なのに、この放任ぶりはすさまじい&偉い。

 心意気を見た。

 何でもスポンサーのラインアップにはないテイストのゲームを作って欲しいということなので、口を出さない方が、ボクらのテイストがきちんと出るって思惑なんだろうなぁ〜。

 本契約が決まったら急に「ここを、ああしろ」とか「あれはやめろ」とか「西を外せ」とか言われちゃったりして…。

 

 誰も何も言ってくんないんだから、自分を信じて突き進むしかない。

 決まんなかったら縁がなった、もしくは鈴木さんが悪いってことだ。

 

 しかし決まったら凄い!!(決まると信じているんだが…)

 あの会社のラインアップにはなかった作品だもん。

 あの会社のカラーに、ちょっとは影響を与えるかも。

 

 トライアルなプロジェクトなので、鉄砲玉のボクらが決めれば、そこに道ができて、後に続く人たちが出てくる。

 失敗すりゃ「やっぱやめましょう」ということになって、このプロジェクト事体も、打ち切りになんのかも。

 

「ボクらが道を作る」と言ったら「調子に乗りすぎるな」とスキンヘッドにガン飛ばされたが、まぁ、気持ちとしてはそんなところ。

 

「道なき道をいけ!!」って感じ。

 オヤジ風にダブルミーニングかますと「道なき未知をいけ!!」ってことでもある。

 決して「未知なき道をいけ!!」ではない。

 それじゃヤバいっての。

 

 

 全体ミーティングでその旨をスタッフ全員に伝達。

 満場一致でこのまま突き進むということなので、このまま、何ひとつ変更することなく突き進む。(11月末まで)

 

 

 その後、太樹に頼んで、田中&ヒカリン(グラフィックチーム)の環境を、ボクと佐代子(企画チーム)と同じにしてもらう。

 イベントのコードがまだ出揃っていない(=分かりやすい)状況なので、田中&ヒカリンに、企画がやってるイベントデータ作成の概要を覚えてもらう目論見。

 2人とも初体験なので、どこまで使い物になるか知らないが、あわよくば、設定だけ渡して、1マップ好きに作ってもらいたい。

 そうるすと、とかくボクと佐代子のカラー(演出)に偏りがちな作品に、少々のスパイスが効くはず。

 それにグラフィックでもシステム構造を理解しておいた方が、それを想定したグラフィックデータを作るようになるので、知ってるに越した事はない。

 

 そこでレクチャースタート。

「グゴグゴ言ってる鶏がいるでしょ?」

「いま〜す」

「そいつのメッセージを「田中はバカだ」に変えて見て」

「変えた〜」

「そしたらイベントデータファイルをセーブして、DOSにいってMAKE RUNってやってみて」

「やった〜」

「…で、鶏に話し掛けてみよう。鶏、何て言った?」

「家に入っちゃいました〜」

「私もで〜す」

「そりゃ扉に話し掛けてんだよ。扉と鶏の位置が近くて、鶏に話しずらいだろうけど、まだ座標移動のコマンドがないので我慢しよう。(使えないぞお前ら)そしたらもう1回MAKE RUNってやってみて」

「やった〜」

「そしたら鶏に話し掛ける」

「話し掛けた〜」

「何て言ってる?」

「田中はバカだって言ってる〜」

「ほら、できたでしょ」

「ほんとだ〜」

「そしたら次はさ、アニメをやって見よう。バタバタ飛んでから話す。それはね、MSGというコマンドの前にANMというコマンドを追加して、そこでバタバタアニメは8番だから、8番を指定すればOKなんだ。できたかな?」

「できた〜」

「私も〜」

「それじゃセーブしてからMAKE RUNね。矢印の上を押せば、ヒストリー機能でMAKE RUNと入力したコマンドが戻ってくるよ」

「ほんとだ〜」

「でしょ! そしたら動かしてみよう。どうなった?」

「アニメした〜。バタバタ飛んだ〜」

「家に入った〜」

「はい、ヒカリンはよくできたね。田中は家に入っちゃったんだね。(お前、帰れ)田中はもう1回チャレンジだね」

「できた〜」

「バタバタ飛んでから話した〜」

「凄いね2人とも! センスがグンバツだよ。ボクなんかすぐに抜かれちゃうかも知れないや」

「抜く〜」

「抜いた〜」

「じゃあ次は、アニメのウェイトだよ。このままだと、バタバタ飛んでるうちにメッセージが表示されちゃって、見苦しいだろ?」

「見苦し〜い(2人、声を揃える)」

「だからANMとMSGのコマンドの間に、WAITってコマンドを挟んで見よう! するとバタバタアニメが終わるのを待ってから、次のMSGの処理に入るから、とても美しいイベントになるよ。できたらセーブしてMAKE RUNね」

「ほんとだ、美し〜」

「家に入りました〜」

「今度はヒカリンが家に入っちゃったんだね。(お前、死ね)それは残念だったけど、もう1回やってみよう! どう、できた?」

「バタバタアニメが終わってからメッセージが表示されてる〜」

「ほらできたでしょ。(だから言ってんだろっつの)それじゃ次は、プロフェッショナルレベルに行くよ」

「行く〜」

「行った〜」

「それじゃね、田中はバカだっていうメッセージを消して、1回目ですってメッセージにして。そしたら次にELSEの中に2回目ですっていうメッセージを書いてみよう! これでどうなるか分かるかな?」

「分かる〜」

「知ってる〜」

「偉いなぁ2人とも…。(うそつけコノヤロ)それはね、1回目に話したときと、2回目に話したときにメッセージの内容を変えるための方法なんだ。IFの後ろにFLAG128==0ってあるでしょ? これは128番のフラグが0ならって言う意味なんだ。そしてELSEの中の128+1で、128に1を入れてんだね」

「128は128で〜す」

「128+1は129で〜す」

「凄いな2人とも!! 明日から企画の仕事ができるぞ!!」

「やった〜」

「うれP〜」

 

 どうにかFLAGの条件分岐まで理解してもらってレクチャー終了。

 その後、発熱。