SKIP IT!


SKIP ME!

1112

 早起きは3文以上の得だと思います

 

 どうにも眠りが浅くて、月曜日も朝の4時に目が醒めてしまった。

 それからダラダラと11月11日の「SKIP ME」を書いて、ヒカルが起きたら焼くだけっていう風にピザトーストの仕込みをして朝の6時。

 ヒカルも目を醒ましたのでピザトーストを焼いて上げて、ボクはご飯に梅干と豚汁で和朝食。

 

 ちょっとモードが変わったのでさっぱりと髭を剃り、熱いシャワーを浴びて、朝の7時に家を出る。

 空はどんよりと曇っているが、冬の張り詰めた空気と、早朝の人もいない青山とで、月曜日から気持ちがいい。

 

 マンションの駐車場に行き、ゴルフワゴンのエンジンをかけ、一通を左折して、裏路地を2回右折して骨董通りに出る。

 J−WAVEを聴きながら、他に車もない骨董通りを直進し246へ向かう。

 

 …と、月曜日の早朝のために路上駐車もほとんどない骨董通りなのに、KINOKUNIYAの手前のMANIAC LOVE(東京の老舗クラブ)へ曲がる交差点の手前にロケバスの一団。

 交差点を通過するときにMANIAC LOVEの方を見ると、その正面の家具屋「WOOD YOU LIKE COMPANY」の前でTVの撮影をしている。

 

 この界隈では雑誌やTVやドラマの撮影は珍しいことではないので、青山でアーバンライフを送ってるボクとしては「また撮影ね」って感じで通過するが、次の瞬間にあるドラマがフラッシュバックする。

 

 それは○○○○○○のドラマ。

 1回目だけ見たけど、たしか○○○○○○の別れた恋人がBOOMの宮沢さんで、彼が勤めてるのがあの店だ…。

 

 もしかして!!!!!!!!!

 もしかして!!!!!!!!!

 もしかして!!!!!!!!!

 

 急に早くなる鼓動。

 ボクは無理やり車線変更して、車を246手前のスターバックスの前に停める。

 

 車から降り、気持ちを落ち着かせるためにタバコに火を点ける。

 骨董通りを少しくだり、1つめの交差点へ。

 するとそこには撮影のクルーが立っていて「撮影中なので少々お待ちください」と現場を仕切っている。

 突っ立ってWOOD YOU LIKE COMPANYの方を見るが、照明、カメラ、音声、スタイリスト風の人、ヘア&メイク風の人、AD風の人がバラバラと20人くらいいるだけで、様子がどうにも分からない。

 …とそこに1台のトラック。

「すいませ〜ん。車が通りま〜す」と仕切り人が声を出すと、撮影が中断された。

 何食わぬ顔でトラックの後ろを歩いて行く。

 通り過ぎる瞬間にWOOD YOU LIKE COMPANYを見るが、店内で撮影中らしく、何人も人がいて、誰がスタッフなんだか、誰が役者なんだか分からない。

 トラックがWOOD YOU LIKE COMPANYを5メートルくらい過ぎたところに停まったので、ボクもそこに立ち止まり、何食わぬ顔で、そこにあった自販機で、飲みたくもないお茶を買う。

 

 早朝の青山なので、その一角にいるのは撮影関係者だけ。

 ボクがひとり見物している状態で、逆にボクが目立ってたのかも知れない。自販機から飲みたくもないお茶を取り出して顔を上げると、ボクを見ている人と目が合った。

 

 彼女は撮影待ちで、ダウンジャケットから小さくて、可愛くて、凛とした顔を出して、両手をポケットに突っ込んで寒そうにしていた。

 

 数秒間、完全に心臓が止まっていた。

 女神に会ったのかと思った。

 心が洗われた。

 元気が出た。

 勇気が湧いた。

 死ぬかと思った(^^ゞ 

 

 

 目が合ったのは、キョンキョンだった。

 そう、好きで好きでたまらない、小泉今日子、その人である。

 

 

 完全に目が合ってるので、視線を外すこともできず、ボクは軽く会釈というか、笑いかけるというか「あなたは小泉今日子さんですね。あなたはボクのことを知らないでしょうが、ボクは知ってます。ずっとファンでした。ニアミスが多くて、すれ違いばかりで、絶対にいつか会えると信じてたけど、やっぱり早起きは3文の得というか、3文どころじゃないんですけど、TVはあまり見ないのでドラマも見ないかも知れないけど、CMや雑誌であなたを見る度に、ボクは幸せになるんです。いまはGIFTというゲームのサンプルを作っているので、本契約が決まったら送るから遊んでください。…っていうか、TVCMで指名するのでそのとき、あなたのその素敵な笑顔でよろしくお願いします」という思いを込めて、じっとキョンキョンを見た。

 時間にして3秒くらい、ボクは彼女と時間を共有した。

 

 思いが通じたのかも知れない。キョンキョンが、瞬間だけど微笑んでくれた。

 

 

 まだまだ、生きていける。